
| 松岡病院は、1920年(大正9年)より福山の地に開院し、初代院長 松岡 賢一、ついで大塚 英夫 院長、そして現在の松岡 巖 院長と続いております。 私達は、常に「患者様第一主義」を心掛けており、病める人の心に愛の灯を差し向けることが喜びであり、また生きがいでもあります。特に当病院は産婦人科専門病院であるため、「生命の誕生」という女性一生の最大のドラマを最も感動あるものとして迎えられるように、スタッフ一同努めております。 そして、常に最新の医学に裏うちされた適正で過不足のない医療(標準的医療:Standard Medical care & Cure)を皆様に提供することをモットーとしております。特に子宮癌検診には力を入れており、昭和47年9月より松岡病院子宮癌手帳の会をつくり、早期発見に努めています。 そのために、当病院のスタッフ一同、心を一つにし、医学医療の研鑚につとめ、院内は常に清潔で明るく、温かい看護の手が指しのべられています。 院長 松岡 巖 |
| −菩薩の顔− 産婦人科医として、人のお産に立ち会って、いつも思うことがある。産後の母親の顔がいずれも菩薩(ぼさつ)の顔をしているのである。十数時間の苦痛に耐え、それを乗り越えた実に静かな顔がそこにある。慈悲深い表情、温かく優しい表情、これはまさに、菩薩の顔である。今、気がついたが、『薩』という字の中には『産』と言う字がある。何か関係があるのだろうか。 菩薩とは「大慈悲心をもって衆生(しゅうじょう)を救済する仏道修行者のこと」と聞いている。どんな危険にあっても母だけは身を呈してわが子をかばう。傍らにはあどけなく、無垢(むく)の赤ん坊が横たわって母に抱かれている。どうしてこの親と子の間に隙間ができ、ヒビが入り断絶ができるのであろうか不思議である。成長するにつれて自我が生まれが我執が生じ、他人のことを慮(おもんばか)ることがなくなるからであろう。 人という動物は、おそらく教育と訓練をされずに野放しにされれば、寛容の精神など生まれてこないに違いない。「人」という字は、お互いに人が人を支え合って生きる姿を表している。人はその能力によって種々の職業につき、生活するが、どこにあてっも、どんな形でもいいから他人を支え、自然を守り、自然と共存できる人間に成長しなければ、この世における存在価値はない。これを教えるのが、教師であり、母である。大物理学者を作るのもよし、大企業を目指すのもよい。が、この人としての行き方の根本を教えられないようでは教師としての、また、母としての資格はない。 人間ほど長い時間をかけて教育される動物はいない。無垢お赤ん坊を抱く菩薩の母親の顔を眺めていると、ことのほか、教育の根本の目指すところは何かと考えさせられてしまう。 松岡 巖 平成12年9月29日 山陽新聞掲載 |
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━Smoking Kills━
2003年5月1日:健康増進法が施行される事になりました。健康増進法第二節、「受動喫煙の防止」第25条は、『学校、体育館、事務所、官公庁施設、飲食店、その他の多数の者が利用する施設を管理するものは、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない』となっています。
これを受けて大手私鉄の駅の多くが、禁煙となりました。これは、最近本人の禁煙のみならず、タバコの煙による周囲の受動喫煙も肺ガンや虚血性心疾患、呼吸器疾患、喘息、乳幼児突然死症候群、また妊婦の流早産、胎児の発育異常等の危険因子となることが分かってきたからです。
近年急増している肺ガン死亡数が1998年に初めて胃ガンを抜きガン死亡率の中でトップとなりました。
では喫煙者がタバコをやめると、どんな良いことが起こるのでしょうか。まず全身の臓器の血流がよくなるので、新陳代謝がよくなり、各臓器の活動が活発になります。血中の酸素分圧が高くなり、喫煙者の一種独特のツヤの無い皮膚の色が美しくなり、生き生きとしてきます。呼吸は楽になり、肺活量が回復するため運動能力が高まります。静脈のうっ血が除かれ、全身倦怠もなくなります。嗅覚と味覚が戻り、食事が美味しくなり、自分本来の健康を取り戻します。無論、肺ガン、咽頭ガン、食道ガン、膀胱ガンなどのガンになるリスクが半減します。いいことずくめです。また、あの側に近寄られると身体をそむけたくなるような嫌な臭気(自分は気がつきませんが)もなくなり、周囲の人からも大変喜ばれます。
喫煙者は自分が吸うタバコの煙が周囲の人に大変な危害を与えているという認識をもたなければなりません。火のついたタバコの先から出る副流煙は、はき出す呼出煙(主流煙)に比較して有害物質が、10倍から50倍も多く含まれていることを知らなければなりません。部屋の中で、あるいは彼女を助手席に乗せて運転席でプカプカやれば、彼女を死に急がせているようなものです。受動喫煙はスモークハラスメントという人もあります。
タバコがやめられない理由に、ニコチン依存や習慣依存があげられます。調査の結果ではニコチン依存より、習慣依存が案外に多いといわれています。ちょっと手元がさみしいとか、考え事をしたり、読書する時なんとなくタバコに火をつけたくなるとか。面白い事に胃潰瘍が出来るとか、不整脈が起きるとか、生命に危険があることを医師に指摘されると驚くほど簡単にやめる人を見かけますが、人間はやっぱり少しでも長く生きたいのでしょうね。大抵何かの動機のもとに強く禁煙の決心をすれば、大抵の人はやめられるものです。私も実は20年程前にはヘビースモーカーでした。ある時、当院に麻酔の手伝いに来ていたオーストラリアの医師アラン・タルボットが「日本人は新幹線という立派な電車はつくったが、公衆道徳は最低だ、プラットホームからつばを吐くし、列車の中では所かまわずタバコは吸うし。他人への迷惑など何も考えとらん!」というので、私はこんなに日本人が馬鹿にされたのではかなわん。よしここでこの男と禁煙の約束をかわして実行しようと決意し、最後の一本をゆっくりと吸い、灰皿に押し付けて、これは「インターナショナルプロミス」といって以後きっぱりとやめて今日に至っています。貴殿も貴女も、あなたの周囲に愛する人がいるなら強い意志と深い愛情があれば止められるはずです。今からでも遅くありません、勇気を出して他人に危害を与えることはやめましょう。自分の行動が「みんなの為になるかどうか」です。
英国ブレア首相は「Smoking Kills」と題した白書を発表し青少年の喫煙率を2010年までに13%から9%に低下させる目標を設定して、禁煙対策費として1億ポンド(約160億円)を予算化しました。福山医師会では喫煙対策委員会(宮田明理事)を立ち上げ、「健康福山21」では未成年者の喫煙率0%、成人の喫煙者半減、妊産婦の喫煙ゼロという目標をかかげました。青少年の喫煙0%達成のためにも大人が範を示さなければなりません。タバコは100害あって1利なし。あなたの人格が問われているのです。 プレスシード6月 掲載 松岡 巌 |